涙の温度

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商社でOLをしている私、根岸亜希子。 実は同じ会社に恋人がいる。 その相手は、同じフロアで働くOL、新村舞。31歳で私よりも8つ年上。しかも上司。 ……ん? 女? と思われるかも知れない。 そうです。 私たちは女同士で付き合っております。 「ねー舞さん! ちょっと荷物持ってよぉ。一人じゃムリ!」 「やだ。箸より重いモノ持った事ないし」 「どこのお嬢様だよ……」 ひっそりと同じ部屋で暮らしている私たちは、会社帰りの買い物も大体一緒。 舞さんは実際にお嬢様で、所々で世間知らずを見せ付けてくれるし、こんなふうに我が儘を言う事もある。 それを覚悟で付き合い始めた訳だから今更文句は言えないんだけど。 「しょーがないなぁ。亜希って案外腕力ないもんね」 案外力持ちの舞さんは、私の手からスーパーの袋をひょいと奪い取った。
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