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「まぁ、それよりも」
結局は本人の意思なのだと割り切りこれ以上追及するのを止め、チンピラのような男は薄毛の頭をボリボリと掻きながら話題を切り替える。
「今日はえらく街中の方が騒がしくないですかい?」
「知っている」
「こんな寂れた街で騒がしいことなんて珍しいと感じませんかい? 旦那?」
騒がしい。
対して普通なら興味をそそる程のことでもないのだが、この街なら話は別であった。
それでもそこまで気にすることでもないのだが、現在この二人は暇をもて余していた。
要は暇潰しになりそうだから行きましょうと男は言いたいのである。
何となくそれを察した青年は1つため息をつきながらも応じることにした。
「(どうせ稼ぐ宛てがねえしな)」
そう言い聞かせて彼もまた騒ぎのある方向へと向かう。
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