黒鉄の傭兵

序章

「そういや旦那ぁ？ 旦那は元傭兵なんですよね？」

「元…な」

道中そんな質問がチンピラのような男からされた青年は多少めんどくさそうに返答した。

傭兵。

国から金銭的報酬で雇われた傭い兵のことだ。

ここで元と言うことは今は足を洗ったのだろうか？ それとも契約破棄でもされたのか？

いずれにせよ正式な兵とは違って、傭兵は金で傭うだけのどうでもいいとまではいかないが、実質それくらいの扱いなのだ。

そして雇われた国が戦で負けたら金も貰えないわけだ。しかも傭兵が全線の一番死にやすい位置で戦っており、死ねば報酬は無し。貰えたとしても使いっぱしりなのであまり報酬は高くない。

ハイリスク ローリターンだ。

だから傭兵は戦場で放置等された武器を根こそぎ回収をしたり、下手したら死んだ人間の懐さえもあさる。

そこは盗賊とかと一切変わらないのかもしれない。