序章

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ただ戦場でするその行為は死んだ者達を冒涜しているのだ。 だから傭兵は意味嫌われる存在である。 「じゃあ旦那は黒鉄って言う傭兵の話を知ってますかい?」 「一応…な」 チンピラのような男の言うその黒鉄と呼ばれる傭兵は、先の大戦の前線で猛威を奮った手練れの傭兵をそう名付けた話のようだ。 黒鉄の異名がついた理由はどうやら拳銃から散弾銃、機関銃等と数々の重火器を扱い、一度に何十人の兵士を相手に切り抜けたらしい。 一人で暴れるその姿はもはや兵器のレベルに近いことから黒鉄と重々しい呼び名がついたようだ。 結局雇われた国の方が敗北し、黒鉄の傭兵も姿を消してしまったようだが。 だが噂は大戦に出た傭兵だけでなく、国中にも広まっている。 その中の1つに黒鉄の傭兵は未だこの国のどこかに潜んでいるのがあるらしい。 「旦那はソイツを見たことあるんですか?」 「いや、俺は別の場所で戦っていたから話だけしか聞いてない」
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