序章

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薄毛のモヒカン気味な頭、人相も悪人みたいな感じで少し太った身体で着ている服のあちこちはぼろぼろで人前には出れないような姿。 最後に下品な笑い。 第一印象で良い人か悪い人かと聞かれれば絶対に誰もが悪い人と答えるだろう。 どちらかと言えばチンピラかもしれない。 「だがこんな俺じゃあ王宮の門前で追い出されるのが落ち。下手したらその場で打ち首かもな。ヘヘヘ、旦那もそうなんだからこのスラム街にいるんだろ?」 スラム街。 街の中でも特に貧困の子供やチンピラがたむろう場所であり、普通の人が立ち寄らない場所である。 今転がっている少女も貧困の子供で、見れば何日間も食事をとってないのか凄く痩せほそっていた。 顔色からしてもあまり良い状態じゃなく、ほっておけばいずれ餓死してしまう程であった。 だがこのチンピラのような男はそんな少女の状態に目もくれず、彼女のぼろぼろの服のポケットに手を突っ込み、何か入ってないかと探していた。
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