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少女は不思議に思った。
見た目で判断するのは失礼だが、明らかに力関係はチンピラのような男の方が上に見える。
しかし、どうやら彼は逆らうことをしない。
見る限り親しい仲にも見える訳でもない。
余程旦那と呼ばれたフード帽を被る青年が恐ろしいのだろうか?
「ガキ」
「…え?」
いきなり自分をガキと呼ばれたことに少女は戸惑う。だが青年は気にすることなく口を開く。
「この国で生きていくなら非常になれ、冷徹になれ。目の前で人が殺されようが襲われようが見捨てろ。ママもパパも頼るな。信じるのは自分だけだ」
唖然とする言葉だった。
幼い子供には余りにも厳しく、辛いことだ。
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