序章

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今まで辛かったのだろう。 苦しかったのだろう。 青年はそれをわかってかこれ以上は何も言わず、歩き始めた。 チンピラのような男は慌てながらも彼へとついていく。 「旦那ぁ、説得力全くありませんぜ?」 「……」 言われたことに青年は無言で返す。 男はため息をつきながらも更に話を続けた。 「あのガキは今ここで少し生き長らえただけで結局死んでしまうんですよ? ちょっと生きる希望を見つけても現実はそんな甘くはないですぜ?」 間違いはなかった。 彼の言葉は単に思ったことを口にしたのではなく、今まで生きてきて見てきたことがそうだったからなのである。
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