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「悩んでも仕方無かろう。事情は明日にでも聴く、今はもう寮に帰れ」
ユウリと比べて軽傷だと判断したカルマは、アルト・ルッツの2人を諭した。
『ああ…だな。柄にも無く慌てちまった。アルト、行くぞ』
「あ、ちょっ!?」
さっさと医務室から出ていってしまったルッツの後を追おうとするアルト。
「アルト」
カルマはアルトに声を掛けた。
「な、何でしょう」
アルトは立ち止まって振り向く。
「何かあった時はこの俺にも声を掛けろ」
ぶっきらぼうに語るカルマ。
「は、はい」
カルマは恥ずかしいのか、くるりと背を向けてしまった。
「俺の力になれる範囲でなら、手伝ってやる。そうでないなら、ルッツ(奴)に頼れ」
「は、はい!!」
ばたりと医務室のドアが閉まり、2人だけになった。
(やれやれ、今日は色々ありすぎたな)
カルマはベッドの布団を直そうと戻ると、ベッドの上に紙切れと何かのカードが置かれているのを見付けた。
『深夜0にて、王立図書館で落ち合おう――――ルッツ・ランディール』
(カード――――王立図書館――――ルッツ――――)
カルマは窓を開けると、虚になった心を振り切る様に空を見上げた。
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