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「はぁ…高等部、か」
少女は溜め息を吐く。
現在学園の講堂目指して移動している。
周りは闇に閉ざされたかの様に閑散としている。
「そう言えば此処って幽霊が出るって噂だっけ」
学園の七不思議のひとつ――何時から存在しているのか、この学園には幽霊が居るらしい。
しかし誰も見た者は居ない。
が、ある。
「はぁ…鬱だ」
また、溜め息を吐く。
『溜め息ばかり吐いていると、幸せ逃げるぞ?』
と、何処からか声が響く。
「ほっといてくれ」
少女の言葉には生気が無い。
「つか、誰だよ…うざい……はぁ」
また、少女のトーンが下がる。
『やれやれ…何があった?』
少女の目の前に、少年がいつの間にか居た。
「…そりゃ、まぁ…小さい頃から"魔力無し"とか"落ちこぼれ"とか言われ続けたら鬱にもなるさ。……はぁ」
『にゃるほど、確かに魔力の魔の字も感じられないわな……魂の強度が半端無ぇが』
ぽん、と肩に何かが触れた様な感触が。
少女は不意に顔を上げた。
そこには、自分の年齢とそう変わらない少年の姿があった。
但し、普通と違うのは…透けていた事、だ。
流石に少女は驚愕してしまった。
が、何故か悲鳴が出なかった。
絶句、とかいうやつだろう。
「なっ…えっ…嘘、だろ…?」
同時に思考が追い付かなかったせいでもあるが。
『はっは、驚かせて悪いな』
「…ま、全くだ。心臓に悪い!!」
『違げぇねぇ』
幽霊は、ばしばしと少女の肩を叩いた。
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