正方形の案内図――或る即興市街の場合

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    「さてと――街の不案内に困っているなら、とりあえずこのビルの3階を訪ねてみたらどうだね」 「3階?」 「そこに探偵が事務所を構えている。その探偵はこの街で唯一の地理学者でもある。何か話が聞けるだろう」 「なるほど。そうしてみましょう」  僕は丁寧にお辞儀して礼を述べた。 「いろいろご親切にありがとうございます。とても助かりました」 「いやいやどういたしまして。お嬢ちゃん」  僕はぐいぐいと頭を撫でられて書店をあとにする。  
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