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地下鉄の光が私達を照らしている間、お互いに声を発することは無かった。
私の目の前で手を差し伸べてくる影絵の主は世間ではイケメンと呼ばれる部位に入るであろう。
優しそうな眼と穏やかな表情…右側が少し目元にかかる長さのストレートな黒い髪…テレビに出てくるイケメン俳優を見てキャーキャー騒ぐお茶の間の奥様方が今の私のように手を差し伸べられたら惚れるのは間違いないほどである。
「大丈夫?」
透き通った声で私に訪ねてくると同時に地下鉄からの光は途絶え目の前にいる彼は再び影絵のようになってしまった。
「大丈夫」
そう答えて影絵の手を取り立ち上がると今までの恐怖心から解放され私の意識は急激に遠退いてしまった、平衡感覚が無くなり崩れるように倒れていったが倒れる瞬間に優しい何かに抱えられた気がした…。
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