1st game:VS F組男子

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 また、このチームにはもう一人運動部の男子がいる。塚原 佑樹だ。晴菜も彼の所属は知らないらしいが、それ故に重要なところで的確に動いてくる塚原は厄介でもある。古田のようなアメフト部なら、ファール覚悟で突っ込んでくるし、大村のようなバスケ部員なら妙技を見せつけようとしてくる、といったような部活ごとの得手、不得手が掴めないから本当に予測ができないのだ。  守備を固める奈倉 庵は帰宅部員だが頭の回転が速い。ただ、イオはいつでも紳士的なために私たちに有利になるよう計らってくれる事もあるのではないか、と私たちは期待している。それに、イオは友達思いだから浜松と仲の良い晴菜や私には日頃からとても親切なのだ。  そして、ゴール下には我が文芸部のビジュアル担当、183cmの長身を誇る浜松 雄大がいる。同じ部活と言うこともあり、このメンバーの中ではもっとも仲が良い、と言えるのではないだろうか。体重が同じで身長差が20cmあるために『凸凹コンビ』などと言われることもあるが(これは私の名誉のために言っておくが、断じて私は太っていない。浜松くんのBMIが16.5にも満たないだけだ)いわゆるカレカノではないか、と言われる事が多い。それほど仲が良いように他人の目から見えているのならば嬉しいが、残念ながらそんな関係性は一切ない。そんな彼の弱みは『部長命令』。去年、文芸部では私が部長で彼が副部長だったため、未だに彼はこの言葉に弱いのだ。あとは、『かっこいいよ』もその一つ。タイミングよく使えば、最高の切り札になるかもしれない。ただ、私も彼に弱みを握られている。なぜか、浜松くんに『笑ってよ』とか『髪型変えた?』と言われてしまうと、それ以上彼に対して強気に出られなくなってしまう。だけど、この授 業では耐えなくてはいけない。思考停止は即敗北に繋がってしまうからだ。  足を引っ張ることだけは、絶対に避ける。避けるったら、避ける!!
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