一つ目の誓い

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 彼女と出会ったのは本当に偶然だった。 この春から大学生になり、いろいろと変わる環境がようやく落ち着きをみせだした頃。 ある休みの日に珍しく早起きして、なんとなく近所の並木道を散歩しているときだ。 老夫婦や犬の散歩などで行き交う人々。 そんな中、一人立ち止まってただ真っすぐに空を見上げている彼女に出会った。 始めは変な人、ぐらいの印象しかなかった。だが、なにをそんなに見ているんだろうと思い、自分も空を見上げてみた。 見上げて、そして… その広さに驚いた。 ストーーーーン と抜けるような青空がそこには広がっていた。 空って、こんなに綺麗だったのか…。 久しく見上げたことなどなく、忘れていた。 気が付くと俺も立ち止まっており、 早朝の並木道。 空を見上げる二人の男女。 いま思えば、かなり怪しかっただろう。 でも俺にとったらそれは大事な大事なきっかけ。 俺と彼女は、ここから始まった。
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