三十路の休日

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プルルルル……… 『もっしー!!こちら杏奈!どうぞ?』 『こちら仁美!どうぞ?って朝からそーゆうトランシーバー的な応答いらねーから(笑)』 『あんた、もんたよしのり並みに声がしゃがれてるけどどーした?風邪?』 『昨日後輩とオケカラ行って、チョイと張り切りすぎた。』 『まったくさぁー、早く彼氏でも作れや!暇な時間を有効に使えば?電車男のストーカーになるとか(笑)』 『マジ捕まるっつうの。で、今日暇?』 『今日はお彼岸だから墓参り行ってくる。わりぃ~。話は変わるけど、先週呑んでる時に幸彦の事を懐かしく話してたけど、まーさーかーの?引きずり人生送ってんじゃねーだろーな!』 『……。引きずってねーし。』 動揺したのか挙動不審に目玉だけあちこち動いてしまう。 『今の間はなに?(爆)分かりやすいんだよ。オメーは!(爆)あの男はない!大至急オマエの脳みそから消せ!じゃぁな~♪』 ……プツ…… 毎回一方的に切られる。 ケータイを片手に窓から見える銭湯の煙突を眺める。『(あー、煙突になりてぇ。)』 人間ではない物にまで憧れを抱き始めて我に返る。 『煙突になってどーすんだよ(笑)暇だからうんぽこでもしようっと。』 重い腰を上げ、二歩歩いてトイレに到着。 『幸彦かぁ‥…。あの男はヒドい男だった。でも素敵だったりもした。引きずっているのか自分でも分からん。 分からーーーーん!!!!!よし!出た!!』 辛い思い出も一緒に流す勢いで思い切りトイレを流す。 -----ジャー-----
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