幸彦

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ー3年半前の冬、あたしは出会ってしまったー そう。幸彦と・・・。 ー忘れもしない。 いや、忘れられない・・・。ー あの日、私と杏奈は、フラれた京香の傷心を癒す為に、3人で夜間バスに乗って、苗場へと向かった。 銀白のゲレンデで新しい恋を探しに・・・。 『うわー寒っっ。』 杏奈が身体を震わせながら呟く。 『寒いのは私の心やねん』と、京香が突っ込む。 『それにしてもスキーなんて久しぶりっ!!いっちょ滑りますか!!』 あたしたちは張り切ってゴンドラに乗った。 東北生まれのあたしたちはスキーなんておてのもの♪ この日の為に新調した、色違いのウェアーを着て、ゲレンデをブイブイいわせた。 一時間ほど滑っていると、 4人の男たちに声をかけられた。 『君たち可愛いね!どこから来たの?』 『(おっ。キタキタ!!)』 『東京からですぅ。。』 少々ブリっ子声で杏奈が答える。 『もしよかったらオレたちと一緒に滑らない?』 『えっ・・・でもぉ。。』 京香が顔を赤らめて俯く。 『(よしっ!ここはあたしの出番だっ!京香のためにも!)』 『是非!ご一緒にっ!!』 あたしたちはすぐに打ち解けて、仲良く颯爽と銀白の世界を堪能した。 『そろそろ休憩しようか?』 たかしの掛け声であたしたちは食堂へと向かった。 その時あたしの目の前に座ったのが幸彦だった。 雪焼けした浅黒い肌に真っ白な歯。 彼の長い睫毛の先には今にも溶けそうな雪がまだついていた。 『(やべー。カッコイイ・・かも・・・。)』 ゲレンデでは一人黙々と滑りニット帽を深く被っていたからこんなにイケメンなんて思ってもいなかった。 今考えると、これはあたしの人生初の一目惚れだったのかもーー。 そして、これが後に辛い恋の始まりになることもこの時の私には想像もつかなかった。
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