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ー幸彦からのメール画面のまま携帯を握りしめ、いつの間にか寝てしまったー
仁美はこの一週間の間に、初回3000円のエステに行き、
美容室に行き、
薬局で美容系のサプリメントを大量購入し、
生まれて初めてネイルサロンにも足を運んだ。
ワイド画面のようだった仁美の親指の爪もすっかり
“女の子の爪”になった。
自分なりに女子力を上げ、出来ることは何でもした。
ーーそして一週間後 ーー
鏡の前で何度も全身をチェックする仁美。
(よしっ。完璧っ!!)
仁美は仕上げにお気に入りのコロンをたたき、待ち合わせ場所、浅草の神谷バー前に向かった。
胸元を強調した白いブラウスに上品な膝丈のベーシュのプリーツスカート、ラビットファーが豪華についた真っ白いコートを身にまとい、足元は慣れない10センチのパンプスを履いてサマンサタバサのバッグを片手に姿勢よく幸彦を待っていた。
ゆる~く内巻きにした髪がラビットファーと共に冷たい風になびいていた。
『♪チャラララッチャラ~♪ぼくドラえもんでぇす♪』
(あっ。メールだっ。)
『あと5分で着くよ!』
(幸彦っ♪了解なり~あたいはもぅ着いてるなりよ~)
正気を取り戻し、深く深呼吸をして幸彦を待った・・・。
『ごめん!!待った~!?』
(ヤバイ!!私服もカッコイイ!)
『ううん、あたしも今着いたとこ!』
(いや~15分以上待ってますけどね!ケケケッ!)
『それじゃー行こうか!!』
『うんっ♪』
(あー緊張するっ!どんな素敵なお店に連れて行ってくれるんだろう・・・♪)
『着いた!ここだよ!!』
『(・・・・・・!?。)』
(幸彦さんよ!ちょい待て~い!ここかい!?初デートで、もんじゃ屋かい!?総額20万のあたしの勝負服が油くさくなるってのかい!?)
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