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若菜の力強い声に一瞬箸が止まるが、また味噌汁に口をつけた。 「なんで? 彼氏がいたら遊べないし、束縛はされるし、自由がないじゃない」 「それが普通じゃないですか!だいたい彼氏がいたら、彼氏しか目に入らないですよ」 「それって、つまんないよねー」 ズズズと味噌汁をすする私を、若菜が腑に落ちない顔をして眺める。 「いや、幸せですよ!」 「そう?刺激もないし……」 「ありますよ!ありまくりですよ!」 「うーん…」 今度は私が腑に落ちず、表情を曇らせる。 「まぁ、でも。私には理解できないけど、未央さんのそういう所には少し憧れるかも」 「へ?」 「未央さんって、自由だし」 フフッと笑う若菜につられて、私も笑った。 他の友達からは非難轟々の私だが、若菜は理解できないと言いながらも側にいる可愛い後輩なのだ。
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