はじめに

12/12
前へ
/12ページ
次へ
ですが、生憎の病み上がり。告別式に出席は断念しましたが、それでも1ヶ月たった頃、交換したメモの住所を頼りにAさんのお宅を訪ねたそうです。 入院中、何度かお見舞いに来ていた娘さんが出迎えてくれました。 生前、息子を可愛がってくれたお礼を言って少し話しをしていたのですが、ふとあの朝の出来事を思いだし、娘さんに聞いてみたそうです。 娘さんは驚いていましたが、着物の特徴を聞き「もしかして」と言いながら箪笥から一枚の着物を出してきました。包んでいる和紙のヒモをほどくと紛れもなくあの朝、Aさんが着ていた着物でした。同じ着物だった事を告げると、とても気にいっていて大切にしていた着物だと涙ぐんでいらっしゃったそうです。
/12ページ

最初のコメントを投稿しよう!

7人が本棚に入れています
本棚に追加