極東支部に勤めてるんだがもう俺はだめかもしれない

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パワーアップした俺たちは高速で散開、ヴァジュラの前足の振り下ろしを回避する。 そこに後方からのレーザー射撃、ヴァジュラの体を次々と貫いていく。 たまらずひるんだところに、俺達が剣撃を与える。 ソーマが放った横薙ぎの一撃がヴァジュラの頭部に命中すると、そこが『結合崩壊』を起こした――! オラクル細胞同士の結合が崩れ、部位を形作れなくなる。 「次は命をもらう…」 ソーマが死神のような一言を言った気がしたが、今はそんなことを気にしている場合じゃない。 脆くなった頭部を集中的に攻撃していく。 頭部がボロボロになったヴァジュラが、体を後ろに引いた。 まずいと思ったときには遅く、とっさに離れたリンドウを除く俺たち二人は、全身を使ったタックルを受けた。 本日二度目の空中散歩(強制)だ。 二人して同時に床に打ちつけられる。 「今度は仲良く…吹っ飛んだな」 「…実に不愉快だ」 ソーマは言葉通り嫌そうな顔をしやがった。 まぁソーマは誰にでもこんな感じらしいというのは、これまでアナグラで生活してきてわかっている。 俺より先に起きたソーマは回復錠を飲むと、再びヴァジュラに向かって走る。 少しはアラガミに対しての恐怖ってもんがないのかね…… 若さのせいなのかもしれんが。 「若さ」という言葉で悲しくなった俺は立ち上がり、同じように回復錠を飲んで走る。 違うのは、俺はヴァジュラから離れるように走ったことだ。 ヴァジュラが吼え、何を仕掛けて来るかと様子を見ていると、前衛二人が距離を取った。 さらに装甲を展開する。 「な、何かやばいのがくるのか…!?」 「広範囲攻撃よ、気をつけて!」 サクヤがそう言って物影に走ったので、俺もそれに習う。 物影から伺うと、襟巻状器官を光らせたヴァジュラの前方に、五つの小型雷球が出現した。 襟巻状の器官がバサリと動いたかと思うと、その雷球が扇状五方向に直進する――! 二人が装甲でひとつずつ受けたが、俺達が隠れている物影の方にも飛んでくる。 慌てて身を隠したところに雷球が着弾、壁の一部が破砕された。
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