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世界的対アラガミ組織『フェンリル』極東支部、通称『アナグラ』……
その支部長室では、一人の男が机に両肘を立てていた。
白いコートに黒手袋を身につけ、金の髪は男性としては少々長めである。
『支部長、照合中のデータベースから、新型神機の適合候補者が見つかりました』
部屋に、通信機を通して女性の声が響く。
「そうか、名前は――」
男の手が傍らの小型端末に伸び、そのキーのひとつを押す。
端末に適合者のデータが表示され、男がそれを確認していく。
「む、これは……」
データを見ながら、男はつぶやいた。
『はい……いかがいたしましょう?』
「ふむ……構わん、早速適合試験を受けてもらうとしよう」
『はい、わかりました』
そう言うと、通信が途絶えた。
静かになった支部長室で、男は目を閉じる。
(新型の適合者が見つかったことは喜ばしいが……まさか、な)
端末には、なおも情報が映されている。
|name:神田 ミキヒサ
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