極東支部に勤めてるんだがもう俺はだめかもしれない

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――――――――――――― ――――――――― ――――― そいつがこちらに気づいた時には、二人はすでにそいつに斬りつけていた。 そいつの両前足から赤い液体が噴出し、二人は素早くそいつから離れる。 四足歩行のそいつが半身を持ち上げて両足を振り下ろす頃には、二人はその攻撃範囲にいなかった。 その顔面に、朱色の一条の光が衝突、そのままそいつの後ろへと抜けていき、壁に衝突して消える。 続けて二、三発のそれが命中する。 そいつがその発射地点を確認する頃には、注意を外された二人がまた斬り掛かっていた。 しかし、それを気にも留めずにそいつの巨体が浮いた。 「サクヤ、行ったぞ!」 リンドウが叫ぶより早く、彼女は動いていた。 土の上を転がり、その場から離れる。 巨体が着地するが、狙った獲物は捕えられない。 「おい、ぼーっとするな…!」 巨体を追い、駆けてきたソーマに指摘され、ようやく俺ははっとして神機を構えた。 そこから次々と光の弾丸が飛んでいき、巨体の脇腹に命中する。 その間にもリンドウとソーマは接近し、サクヤは再び銃撃を開始する。 ――と、そいつの首を覆っていた、赤い襟巻状の器官が帯電する。 「『ヴァジュラ』が放電するわ、離れて!」 「わかってらぁ…!」 二人が離れた直後、そいつ――ヴァジュラを中心としたドーム状に雷撃が走る。 その隙を狙い、俺とサクヤが遠距離から射撃する。 だが、すぐにその攻撃は止まってしまった。 「げっ、もう弾切れかよ!?」 俺の持つ神機に組み込まれている『オラクル細胞』…… それが持つ力を高エネルギー状に変化させ撃ち出すのが、さっき俺とサクヤがやっていた攻撃だ。 しかし、そのエネルギーにも限りがある。 使いきればそれ以上の攻撃はできなくなるのだ。 「リロードするわ!」 サクヤの持つ神機、いわゆる『旧型遠距離式神機』には、エネルギーの再生成機能がついている。 そりゃそうだ、遠距離攻撃しかできない武器で予備の弾がありませんなんて言ったら、とんでもなく使えない武器になる。 しかし、俺の持つ神機にはその機能はない。 その代わりに違う、凄い(らしい)機能がある。 だが、俺としてはそんな機能よりもサクヤの神機と同じ機能を付けて欲しかった。
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