極東支部に勤めてるんだがもう俺はだめかもしれない

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「はぁ……」 ため息と共に俺は動く。 走りながら神機を変形、それまでの『銃形態』(ガンフォーム)から、前衛二人と同じ『剣形態』(ブレードフォーム)へと神機を変える。 これが『新型神機』の持つ変形機能で、遠近どちらの攻撃も行える。 さらに剣形態では、攻撃した際にアラガミの持つオラクル細胞を『喰い破る』ことで傷を与えるので、そのまま遠距離攻撃用のエネルギーを補給できるのだ。 つまり、エネルギーの自動再生はできないが、敵からエネルギーを奪って使えるのである。 十分に近づき、こちらを振り向いたヴァジュラの顔面に斬りつけ、すぐに離れる。 離れる俺の顔のすぐ横を、ヴァジュラの太い前足が掠めていく――! 危ねぇ、だから接近戦は嫌なんだ! その間にリンドウが、ヴァジュラを挟んで反対側から連撃、振り下ろし、水平斬り、再びの振り下ろしのあとに渾身の斬り上げを放つ。 上半身を持ち上げてヴァジュラがもがく。 どうやら今のは効いたようだ。 地に両前足を着いたヴァジュラの頭に影―― 濃縮されたエネルギーが延長した刃を形作り、それがヴァジュラへと叩きつけられた。 『近接型神機』の中でも最重量の『バスター』と呼ばれる神機だけが使える、『チャージクラッシュ』だ。 ソーマの持つ神機がそれであり、連撃よりも重い一撃を与えることに特化している。 ちなみに俺とリンドウの使っている物は『ロング』と言い、平均的な性能を持つ一番扱いやすい種類になる。 刀身にはもうひとつ『ショート』ってのがあるんだが、確か防衛班のタツミ(だっけ?)が使っていた。 そんなことを考えているうちに、ソーマが地に埋まった刃を無理やり引き抜き、退避する。 それを追いかけるように、ヴァジュラが発生させた雷球が飛んでいく。 とっさに、神機に収納されていた『装甲』を展開する。 左右に分かれていたパーツが合わさり、ソーマの前に盾となって出現する。 雷球が衝突、ダメージは無いに等しいが、衝撃で後退し踏みとどまる。
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