†-午前八時-†

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†††††† 敷金礼金家賃が安いのが売りのアパートという理由で住み始めたぼろぼろの部屋。 最初は苦労したが、住めば都とは良く言ったものである。 部屋が自分に順応するのではなく、自分が部屋に順応出来るようになっていった。 がたがたの窓、閉めるのに一苦労する玄関の扉、軋む畳の床。 それら全てを把握して、自分の都合の良い様に行動する技術を会得した。 部屋は綺麗に整えられている。 都合良く行動する技術の賜物と言っても過言では無いが、どうしても汚く見えるのはひびの入った壁などのせいだろう。 畳も傷んでおり、内装がポジティブなイメージよりもネガティブなイメージが先入観として視覚から脳に情報が伝わってしまう。 近々カーペットを敷きたいと思っているのだが、現在の収入では到底叶わぬ願いだった。 バイトのみで生計を立てるのは不安定だと泣きを見る。 自分が属している社会はまだまだ厳しい。
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