いつだって母は味方でいてくれるとは片腹痛し

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「……明日から学園だってよ。まあせいぜい頑張れよ落ちこぼれ」  僕の返事も待たず、彼女は唾を吐いて帰っていった。  ……ん? 学園だと? 「何……だと……」  くふ……はは。これは、予想より早く動けるかもしれないな。  僕がこの国を支配するまでの一歩を、まさか両親に進まされるとは。やはり腐っても親は親だな。 「くはっ、ははははははっ」  感謝しますよ、父上殿……。  これで。  貴方の死が、また近づいてきた訳ですからね。 「ありがとう、シーナ……考える時間を作ってくれて」 「そして」  僕は嗤う。ただ人を呪い、自分を自賛し。  ――僕は、都合の良いこの世界を嗤う。嘲笑う。  夜が更けていく。部屋の角にある隙間から漏れる陽が強くなるのが分かる。  ああ、楽しみだなあ。  ……今日から僕は、人生の第二歩目を歩みだす。  それはまるで、亀の母が子を気遣うように鈍く。  梟が獲物を狙うように鋭敏に、狡猾に。  ――僕が、僕になっていく。 「愛してる。だから死んでくれ」
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