いつだって母は味方でいてくれるとは片腹痛し

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「み、見ないでください」 「いやあ、でも露出が……」 「言わないでください! 見ないでって言ってるのにぃ……ふぇーん!」 「何というっ!?」  何だ、何なんだこの女の子は。恥ずかしがり? 卑屈? いや、そんな生易しいものじゃないぞ、これは。  下手をすれば僕の命を奪いかねない。鼻血的な意味で。  ともすれば鬱陶しがられるような性格をしているが、僕はむしろ可愛いとさえ思う。  何だろうこの感じ……まさかこれが……恋っ!?  まあそんな訳はないが。今年入学ということはやはり、僕と同じ十五歳だろう。精神年齢が多少弄られていたとしたって、僕の中身は立派な四十一歳だ。そんな人間が十五歳の少女に恋心など……言語道断である。  とはいえ可愛いと思うことは事実なので、お近づきになるための第一印象を良くすることに努めることにした。 「見ません、見ません!」 「ほんとうですか……?」 「はい、本当ですから!」  僕が肯定すると、彼女は安心したように頬を緩めた。  そんな仕草でさえ可憐だ。見ないと言ったくせにガン見してしまう。 「でも、不思議な方ですね」  それは貴方だ、と言ってしまいそうになったがそこはその中身を尋ねるだけに留めておいた。 「はい。私、特殊な能力を持ってしまして。魔力の感知と探知ができるんですけど……見てます?」 「はい……ああいや、見てないです今の無しで」 「不思議と、貴方の魔力が感じられないんですよね……」  なんと。不足の事態発生であります。
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