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私は死んだ。スイーツ。
これはネタとかそういった類のものではなく、紛れもない事実だ。
天国へと昇る途中、自分を天使と名乗るダンディズム溢れるおっさんが現れて僕にいろいろなことを説明してくれた。
僕が死んだこと。これはまあどうでもいい。自分が死んだことが信じられなくて錯乱する人がよくいるので、その対処だと教えてくれた。
僕が向かう先は天国だが、希望次第では地獄へ行くこともできること。行かないと答えた。
――天国で働いた分だけ、特典を付けて転生できること。最大年数は百年。百年間天国で働けば、前世の記憶を持って転生できるということらしい。
それに僕は、喰いついた。
元々、非日常が欲しくて死んだんだ。これ以上の報酬はない。
……しかし、暑いな。
思わず服を脱ぎ捨てたい衝動に駆られたが、僕は狂人ではないしメリットもないのでぐっとこらえた。
おっさんによると、この暑さは肉体が火葬されているためなのだそうだ。服を破り捨てなかったのはおっさんが知る中では僕が初めてらしい。どうでもいいよ。
ということは、火葬されて骨だけになったら逆にスースーするのだろうか。その疑問をおっさんにぶつけると、その時点ではもう神経が全て焼き切れているので、何も感じないと説明された。なるほど、納得だ。
とりあえずそんなやり取りがあって、僕はたった今、天国での百年間を振り返り終わったところなのだ。
これから僕は、転生する。
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