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朝ゴハンを食べてお皿を裕兄に渡すと僕はいそいそと自分の部屋に上がり仕度をしはじめる。なんでこんな直前に言うかなぁ…、なんてちょっと愚痴りながら僕は身の回りの物を出していく。それらを裕兄見たいにボストンバックに詰めていき僕は一息ついた。
(まぁ、お世話になるって言っても家には暇を見つけて帰って来ればいいから他の物は今度にしよう…)
ボストンバックのファスナーを閉めながら僕はちらりと壁に掛けている時計へ目を向けた。
08:45.
「そろそろ、出るの、かな…」
これから先の事を考えたら気が重くなってしまう。これからは唯一の家族の兄と離れて生活することになる。しかも何故かまだ一度も会ったことのないような兄の友達と暮らすことになってしまった。僕はそのことが一番気がかりではぁ、とため息を吐いた。
「一葉~?準備出来たか~?」
そんな時、裕兄の間延びした声がして僕は思わずくすっ、と笑った。
当分兄のこの声も聞けなくなる。
いや、でも電話とかすれば大丈夫かな?でも電話料金とか怖いしなぁ……。
裕兄に呼ばれて重たいボストンバックを肩に下げながら僕は階段を一段一段ゆっくりと下りていく。
下まで下りるとそこにはもう準備満タンの兄が仁王立ちで立っていた。
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