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「裕兄、いつ頃出発するの…?」
恐る恐るトーストをかじりながら聞いてみる。
「ん?あぁ、朝ごはん食べて大体の支度が終わったらすぐ空港に行かなきゃならないんだ。11時のアメリカ行きの便でチケット取ったから」
僕はその言葉を聞いて心が重苦しくなった。
朝御飯食べて支度したらって、すぐじゃん……。
僕がしゅん、となっていると裕兄はそれに気づいて僕の頭をわしゃわしゃと撫でる。
寝起きで寝癖のついた髪が余計に酷くなったけど、当分裕兄に撫でてもらえないから僕はもっとしてと言わんばかりに今だけ裕兄に甘えた。
「ははっ、大丈夫だって。そんな10年、20年会えない訳じゃねぇんだから。長くても4年、ま、俺の頭脳じゃ2、3年くらいだって」
「2、3年でも、けっこう長いよ…」
「心配すんな!やることすませたらすぐ帰ってくるから。それに俺が向こうに行ったあと一葉には行ってもらう場所がある」
「行ってもらう……場所?」
裕兄の言葉に僕は首を傾げる。
行ってもらう場所って…?
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