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「で、でもっ!裕兄の友達に悪いんじゃないのっ?そんな、長く居座って…」
今一番、疑問を抱いている事を裕兄に聞く。だって、裕兄の話では少なくとも2年くらいかかるって話だ。さすがにそんな長い間、いくら裕兄の友達だからってその人の家に居座るなんて迷惑だと思うし……。
「あぁ、そのことなら大丈夫だ」
「へ?…大丈夫って……なんで?」
「そいつさ、家事が苦手でさ。結構ひとりで苦労してるらしいんだ」
ニコニコと笑いながら話す兄に僕はなんとなく裕兄の言いたいことが分かった。
「つまり、……僕が家事をしろと…?」
「さっすが、俺の弟!よくわかってらっしゃる」
裕兄はそう言ってすっかり冷めた食べかけのトーストを口に押し込み最後にオレンジジュースで流し込んだ。
食べ終わり空になった皿やコップを持つといそいそと流しへと運んでいく。
「ほら、一葉も早く食べろよ。これ片付けて着替えたら家出るんだから」
「え、あっ、……うん」
僕は半ば流される形で話を切られ不服そうに返事を返した。
僕、まだ一言も"いい"なんて言ってないよ…?
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