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入院が延び、光太郎が退院したのは3日後だった。
そして、光太郎は上村家のベッドで起きる。
「あ~、まだ身体がだりぃよ……」
傷は塞がったものの、身体はまだ倦怠感が残っているようだ。
「あっ、ようやく起きたわね」
起床したばかりの光太郎に声が掛かる。
それは上村沙姫のものだった。
「おう沙姫」
「朝御飯ができたわよ。早く来ないと冷めるわよ」
沙姫はそう言うなり、先に朝食へ向かったようだ。
「やれやれ」
「元に戻ったんだねお兄ちゃん」
沙姫に続いて部屋に入ってきたのはアラリィだった。
「まあな。でも全部じゃねぇさ」
互いにぎこちなさが残っている。
「それでも、前よりはマシだよ~」
ニコニコと、アラリィは屈託のない笑顔で告げた。
実際にその通りだと思い、光太郎もまた笑うのだった。
「んじゃま、着替えるから先に降りててくれ」
「は~い」
間延びした返事をしながら、アラリィは下に降りたのだ。
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