吐息、白く

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【吐息、白く】 山積みの書類を両手で抱えて 闇雲に迷走れ 脇目も振らずに 一枚一枚風に飛ばされて 辺り一面が紙に埋もれる まるで君は冬の精のようだね そして僕らもそれを蹴散らして迷走り出す 凍える時代に降る雪が 雪崩のように押し寄せて 為す術も無く飲み込まれても 来たるべき日に備えよ 深く根を張り春を待て 鼻を刺すインクの匂いと 耳を貫く罵詈雑言 向かい風で目も開けられず 感覚のない指先で味気ない日々をなぞる 溶けない重圧とだだ下がりの調子で 息をする度肺が凍り付く 生きるのが辛い 終わりが見えない そんな弱音も糧にしてゆけ 凍える時代に降る雪が 雪崩のように押し寄せて 為す術も無く飲み込まれても 来たるべき日に備えよ 深く根を張り春を待て いつか力強く芽吹く日を それは夢ではない 決して夢ではない
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