序章

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「次はお前だ…さぁいけ 。」 「……。」 湿気とカビ臭い通路 周りには自分と同じく鎖に繋がれた罪人達。 酷く怯える者や表情が暗く生きる希望すらなくした奴等が周りに連られ 縦一列に5・6人いる。 俺は最後尾より一つ前に歩き付いてゆく。 何がしたいでもなく、たいして変りようのない日々 日々の中で傷が増え 何度も死にかけた事もあった。 だが生き残った 何故かは分らんが だがそれが運命ならと自身安堵して冷静を保つ事にしていた。 通路の先頭には腰から剣をさげた人間様で ちらほら後ろを向くと汚らしい鼠をみるようにしてみては罵声をあびせてくる。 「貴様ぁ のろのろ歩くな! はやくついてこい。」 そう言われ 最後尾の気の弱そうな男を睨付ける。 「ひ …ぁ はい。」 男はいそいそ俺の後方に迫るが 俺をまじかで見るなり ひっ と恐怖を口からもらし 少し距離をおく。 俺は歩きながら自身の手をみて思った。 俺は人間じゃなく獣人だと… 再確認しては表情には出さずに鼻先を舐める。
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