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少年、田島彰は裕福な人生を送っていた。
親にも愛され、周りにも愛され、育っていった。
ある日。
彰は自分の部屋で、のんびり、ぼーっとしていると、窓際に何かいることに気がついた。
「黒い鳥・・?」
彰は近づいていった。
よく見ると両翼がないことに気がついた。
両翼がなかったら、普通は不気味に思う。
だが、彰は不思議と黒い鳥に惹かれていった。
それからと言うもの、毎日決まった時間にその黒い鳥は現れ、消える。
彰は黒い鳥のことについては知っていた。
自分にも闇が深いから現れた。
のだと思っていた。
だが、それは違った。
彰は黒い鳥について、もう一つ、知らないことがあった。
ネットで見たときにひとつしか見ていなかったのだろう。
《心の闇が深いものの前に現れる》
と、いうことしか、見ていなかったのだろう。
その少ししたに行くと、もう一つ書いてあった。
《その反対に、闇が浅い者が見てしまうといずれ、死が訪れる》
そう、書いてあったのだ。
それを知らなかった、彰はずっと黒い鳥と接していた。
そしてある日、
彰は原因不明の病気にかかってしまった。
「今日も来てくれたんだね」
誰も居ない病室でそう呟いた。
彰の、目線の先には黒い鳥が居た。
それから、二年間、彰はずっと病院で療養を続けていた。
その間も、黒い鳥は決まって、彰が一人の時に現れ、人が来ると消えていった。
ある日、ぱったりと黒い鳥は現れなかった。
その日から、彰の様態が急変してしまった。
それから、一週間後、
死に際に黒い鳥を見て、彰は亡くなってしまった。
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