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「ねぇお兄ちゃん、一緒に遊ぼうよ!」
私は目の前に立っている長い黒髪の青年……『お兄ちゃん』に抱きついてその顔を見上げる。
「ごめんな。梓……お兄ちゃん今日は一緒に遊べないんだ……」
「ふみゅぅ……」
私はお兄ちゃんに頭を撫でられ、ふわりと浮いたような感覚になる。
「おっと……そろそろ行かなきゃいろいろと都合が悪いな……」
お兄ちゃんはそう言うと、玄関の方へと歩いていく。
「お兄ちゃん……どこに行くの?」
「梓には秘密。どうせ、いつかは分かるさ」
お兄ちゃんは口に人差し指を当ててそう言うと、家を出て行った。
そして、その後お兄ちゃんが帰ってくることは無かった。
次の日のニュースで私はお兄ちゃんがとある事件で死んだと聞いた。
『人形師事件』……そう呼ばれた事件……
生存者は少年一人……
『犯人は不明』
そう言われたけれど私には心当たりがあった。
『赤科斉斗(あかしなせいと)』
私の大好きなお兄ちゃん……
私はお兄ちゃんが死んだなんて信じられなかった……
だから私はお兄ちゃんを探すことにした……
まだ私の頭を撫でてほしかったから……
でも、それから三年……
私はお兄ちゃんの事を知っていく内にその気持ちを持つことができなくなってしまった……
『残虐な殺人犯』赤科斉斗……
私は彼を捕まえるため、戦い続ける……
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