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「……生き残るのよ」
なんとか保っている意識で、重々しく口を開く。
汗で髪が、肌にべっとりと張り付いていた。
それを、彼女は見つめる。今にも泣きそうな瞳で。
「……私は……貴女がいたから……生きてこれた……。大丈夫……だ……から……」
そう言って母は、目を細めて微笑んだ。
床に広がる紅色の液体。
それと交わるように、彼女の瞳から落ちる涙が、床に溜まる。
隣に目をやると、父が倒れていた。血を出して。それを眺め、彼女は手を強く、強く握った。
手の平から血が滴る程、強く……
「……泣くのはよしなさい……貴女は強い子に育ってくれた……」
その言葉に、今度は歯を食いしばる。
何も出来ない自分に、腹が立って、悔しくて、苦しくて。
「……あのタンスの中に、剣が入って……るわ……。それを持って行きなさい……。あれがあれば……貴女は死なない……から」
言われた通り、タンスから剣を出した。つかの部分に、赤い宝石が埋め込まれている。
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