幽式部《ユウシキブ》

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「魔の、地階」 サンタは、改めて、周り、いや、周りといっても一本道しかないのだが、そこを見渡す。 先を見通すことが出来ない程に長い、幅四メートル程の通路。薄暗い道。敷かれる、濃紺色の絨毯。ちかちかと、今にもそのか細い光をたちきってしまいそうな、小さい電球。 「私の魔法、《再読》っていうのはね、過去に見たことのある場所なら、どこにでも飛ぶことができるのよ。まぁ、そんなに長い距離は無理だけどね」 そう言ってオルカは歩き始める。 「それでここまでがこの間までに私達が進んだ道。まぁ、いっちゃあ栞みたいなものね」 「ったく便利な魔法だよ」 そう言いながらシュウは、頭をかきながらオルカの後を歩き始めた。 サンタとアオとヒイも、その後に続く。 「あ、あと気をつけてね」 そう言って、オルカはチラリとサンタの方を伺った。 サンタは、首を傾げる。 「ここ、」 「うおおおぉぉぉん!!」 けして広くはない通路に響き渡る、獣の唸り声。 「魔物がでるから」 そこには、体長二メートルはあろうかという、漆黒の狼がサンタ達を睨み付けていた。 .
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