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「…………」
「それに」と、シュウは続ける。
「セラスタには闇が多い。過去に何度も、闇に葬りさられた問題がある。そう、例えば、《魔剣に墜ちた少年》、とかな」
魔剣に墜ちた少年。
──それは、
「まぁ、それを暴いてやろって話だよ! サンタ君」
言ったのはヒイだった。
この陰気な場所には似合わない、晴れやかな笑みを浮かべている。
「そんなことしたら私達、ヒーローだよ!」
ヒーロー。
「あぁ、そうだな」
苦笑を浮かべる、サンタだった。
★
「破壊魔法」
轟音と共に、何体目とも知れない狼の魔物が、四散した。
「今日はやけに魔物が多いな」
額の汗をぬぐいながら、そう声をもらす、シュウ。
「そうだね」と、アオ。
「なんかいつもと雰囲気が違う」
「そうかなぁ。私ぜーんぜんわかんないけど」
先程から一度も魔法を見せていないヒイは、疲れ知らず、といったふうに、オルカの後を追随する。
「ん、待って」
そう言ったのは、オルカだった。
何を思ったのか、突然走り出す。
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