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「えー、つまり破壊魔法というのは、自身の魔力、あるいは外気に満ちている魔力を駆使するものであり──」
──日常がやってきた。
破壊学の教師の授業を聞きながら、教室の外へと視線を反らす、サンタ。
あれから、一ヶ月がたった。
『サンタ。私は少しすることがあるから、それから、また後で会おう。必ず、必ず会いに行くから。それまで待ってて』
そう言って彼女は、サンタの目の前から行方を眩ませた。眩ませたというか、行方不明となった。所謂音信不通だ。
あの頃の記憶が、まるで先程目の前で起こったことかのように、鮮やかに脳内に浮かび上がる。
あの、忘れることの出来ない、最強の顔。
「おい、聞いてるのか? サンタ」
「あ、はい」
しかし、それも過去のこと。非日常と日常は、きちんと区別をつけなければならない。
「──……」
結局サンタは、日常に上手く歯車を噛み合わせられずにいた。
もしかしたら、あの頃に、──憧れていたのかもしれない。
「……はぁ」
──エルファ。
サンタは、ため息をつき、もう一度窓の外へと目をやった。
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