見てはいけない

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見てはいけない

ガタン… ガタン… 橋本 美妃は、山間を走るローカル線の電車の中にいた。 来年大学を卒業し広告代理店に就職が、決まっていた美妃は一週間の研修を受けるために秩父の山奥に向かっていたのだ。 現地に4時に集合、研修を受けるのは20名…一緒に受けた冴島 七海は受かったが途中で辞退をした、美妃は寂しい電車の中で七海が居ない寂しさを痛感していた。 『七海…寂しいよぉ…』 美妃はひとけの無い車内を見渡した。 床は木を貼り合わせた鉛臭い床材に、二人づつの向き合わせのベンチシート、照明は電球色の為に薄暗かった… 程なくして途中の停車駅に到着し、ドアが開いたが…降りる人も乗る人もなく、電車はさらに山奥に向かっていく… 美妃は、例えようのない不安に駈られた… 間もなく電車が発車致します… ドアが閉まりますのでお体を引いて下さい… アナウンスが、出発の旨を告げた…その時… 同じ年頃の女性が走って車内に駆け込んできた。
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