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『あらっ…!』
レナは小さく呟くと、ゆっくりと美妃を離した… レナの目線の先は、奥の座席に独りで座っている男性を捉えていた…
『やつら… 乗っていたのね…』
レナの目付きは鋭く、下唇を噛みながら、何かを後悔した顔つきだった。
『どうしたの…レナちゃん…』
美妃は不安な顔でレナを見つめた…すると…視線は男から外さずに、小声で語り始めた…
『この世界はね…複雑な時空が入り乱れているのよ…いつ、何処なのかは解らないけど…時に霊界と人間界は、接点が出来てしまうの…奴らからも私達からも気付かれない程に自然に…』
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ・・・・
『えっ…! なになに…分かんない…』
美妃は戸惑いを露にした…
『恐ろしい事だわ…美妃…落ち着いて聞いてちょうだい… これは、私が祖母から聞いた霊界のルールよ…』
二人は座席の背もたれに隠れると、レナは唇を美妃の耳に近付けた。
『霊界ルールその1…霊に接触してしまった場合…相手の霊に対して自分が気付いたと悟られてはいけない… 霊ってね、相手が気付かなければ何もしないの…じゃあ、逆に悟られたらどうなるか…!』
美妃はレナから目が離せなかった…この人の言葉を一語一句聞き逃さずにしなければ…自分は…
死ぬ・・・・!
ギャァァァァァ・・・・ン・・・
『悟られたら…憑かれるわ…!』
『うぁっ…! あっ…!』
シャァァァ・・・
美妃は、あまりの恐怖に失禁した…恥ずかしさは恐怖が上回り…大量の尿が座席を濡らすと…レナは上着のカーディガンを脱ぐと美妃の尻の下に敷いた。
『目的地まで、このまま下車しないのは、危険すぎるわ… 隙を見て降りるわよ。
レナが言った瞬間…車両を移るため移動してきた中年女性が男と眼を合わせた…
その瞬間…男は、嫌な笑いをしたと同時に女性の顔色は青黒く変色すると…しぼんで床に崩れ落ちた…!
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