失踪4日目

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どんな死に方にしても、最後に少しぐらい良い思いがしたい。 幸子は、昼間に買った服と、化粧品を眺めていた。 結婚してから、化粧をして、おしゃれをして、出かける事は少なかった。 幹夫が出かけていても、自分は武と一緒に過ごす。 幹夫は、英里とお洒落なバーに行って、二人でお酒を飲みながら、恋人の雰囲気を味わっていただろう。 現に、何度かお洒落なバーで飲んだであろう、会員カードを見つけた事があった。 幸子は、鏡の前で、きれいに髪をカーラーで巻いた。 そして、今流行っている髪形にしてみた。 それから、化粧をし、マスカラでまつ毛を長めに見せる。 口紅を軽く塗り、グロスを縫った。 32歳には見えないだろう。 幸子は、気分を変えて、夜の街へ繰り出す。 お洒落なバーを見つけ、そこに入り、カウンターに座り、一人でお洒落なカクテルを飲む。 ドラマなら、ここでいい男が現れて、一緒にカクテルでも飲みながら、一夜を過ごすであろう。 そんな事を考えていたとき、誰かが幸子の隣に座った。 すらっとした背広姿の男性だった。 横顔がキリッとしていて、幸子は少し、ドキッとした。 すると、隣の男性が、声をかけてきた。 「お一人ですか?」 幸子は緊張したが、最後だと思い、思い切って話しをした。 「はい、一人です。」 「こんなお綺麗な方が、お一人ですか。もしよかったら一緒に飲みませんか?」 幸子は、少し頬を赤らめながら、こくんと頷いた。
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