失踪5日目

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今朝、朝食を食べている時に、武ぐらいの歳の子を見た。 幸子は、胸が張り裂けそうだった。 武は、元気でいるのだろうか。 それだけが、どうしても気がかりだった。 この数日間で、あれだけ生えてこなかった髪の毛が、うっすら産毛のように生えてきた。 少し、開放されたような気分になっていた。 でも、幹夫の事や、英里の事を思い出すと、絶望的な気持ちになる。 たとえば、夫と離婚をして、武と二人で暮らす。だけど、幹夫を思い出し、英里とうまくやっているのかと、思うだけで、奈落の底に落とされる気持ちになる。 こんなに幹夫を愛している。 母親なら、子供のために生きて行けと、世間には後ろ指さされるだろう。 でも、武も大事だが、それ以上に、夫、幹夫を愛している。 男がいないと、生きていけない、そんな女にはなりたくなかったが、愛を知ってしまうと、もう後戻りはできない。 恋をすると、盲目になるのと同じだ。 悔しい・・・? 悲しい・・・? なぜ、死のうとしている・・・? 死ぬ勇気があるなら、がむしゃらに生きればいい? 生きている地獄より、死んで地獄に落ちる方が、よっぽどマシだから。 だけど、なぜだろう。あの時抱いた死への執着心が薄れつつあった。 時間というものは、人の心を癒して行くのかも知れない。 幸子は、近くでプリペイド式の携帯電話を購入した。
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