失踪5日目

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「184」と頭につけて、幹夫の携帯電話に、電話を入れた。 プルル ガチャ 「はい、もしもし。」 愛しい夫の声がした。 幸子は、何も言えずにいた。 「もしもし!幸子か!!?? 切らずに、聞いてくれ!!」 幹夫の切羽詰った声に、何も言わずに幸子は聞いていた。 「武が、肺炎で入院した・・・幸子、戻ってきてくれ・・・俺が全部悪いんだ。幸子は何も悪くない。俺は、幸子が戻ってきてくれないと、ダメになってしまう・・・頼む、戻ってきてくれ。」 幸子は、武が入院した事に胸を痛めた。 でも、幹夫が泣いている事にもビックリした。 自分がいなくなれば、英里と飽きるまで一緒にいられるのに、なぜ? 幸子の中では、まだ整理ができなかった。 「幸子が家を出てから、幸子が俺と英里の事を知っていて、胸を痛めて、病院に通っている事、円形脱毛症になっていたことを知ったよ。 俺はダメな夫だ。君を失って、初めて、幸子の大切さに気がついた。 武に君が必要なように、俺にとっても、幸子が必要なんだ。 戻ってきて欲しい。許して欲しい。頼む、何か言ってくれ。」 幹夫の溢れ出す涙を、電話越しでも感じていた。 許せるのか? 最初から、許している。 愛せるのか? すごく、愛している。 だからこそ、失うのが怖かった。 失う事だけが怖くて、死を選ぼうとしていた。 幹夫は、英里のところへ行ってしまうんじゃないかって、思っていた。
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