失踪5日目

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「もしもし・・・」 幸子は、声を出した。 「幸子!」 幹夫は、何度も幸子と呼んだ。 「ごめんなさい、私が弱いばかりに、武や、あなたに迷惑かけてしまって、本当にごめんなさい・・・」 「なんで、幸子が謝るんだよ。悪いのは全部俺なのに。幸子、会って話をしよう。電話じゃ、想いを伝えられない。戻ってきてくれ。もし戻れないなら俺がそっちまで行くから。 頼む。幸子。頼むよ。」 「分かった・・・戻るわ。戻るから・・・」 幸子は、一度家に戻ってきちんと話をしようと思った。 夫の気持ちを、まだ聞いてもいないうちから、死を選ぶのはバカバカしい事だと、気づいた。 だけど、あの時は、精神状態がおかしくて、そんな事を考える余裕がなかった。 幸子は、しばらく滞在していたホテルを清算して、家に向った。
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