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「ママ、今日は武に大事なお話があるの。」
武は、いつものように調合金のロボットを組み立てて、ヒーローごっこをしていた。
そんな中、幸子は武を呼び寄せ、自分の膝の上に乗せながら言った。
「ママね、武と、パパが大好きよ。」
「うん、僕もね、ママとパパが大好き。」
武の答えに幸子は、微笑みで答えた。
「でもね。」
幸子は、武や、幹夫を愛している。
だけど、もはや自分の心はボロボロになっていて、毎日宙に浮いたような気持ちになっていた。
あれは1年半年前。
夫が親友の英里と浮気をしていることに、気づいてしまった。
英里は、昔から人のものを欲しがる癖があった。
だから、相手が英里じゃなければ、幹夫に浮気の事を突きつけて、別れるように説得できたのかも知れない。
だけど、学生時代から、英里は、幸子と付き合った相手をことごとく奪っていった。
それでも、友達を続けていたのは、幸子のプライドだった。
さすがに、結婚した相手まで取らないだろうと思っていた。
だが、その性質は、いつまで経っても変わらなかった。
誘ったのは、おそらく英里の方から。
週に一度は、夫が英里の元へ行く。
それを知っていながら、知らないふりをしている。
そんな日々に、嫌気がさしてしまった。
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