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「なんで妹萌えが分からねぇんだよぉぉおっっ!」
「だかららら、妹がいるからららっっ!」
俺は
底の浅いオタクです。
下校なう。
深緑萌えたぎる帰り道、日陰をなるべく選んで道を行く所存。
何故か、途中で友達に首絞められガクガク揺さ振られてます。
ちょ画面揺れ、画面、待てヤメロ、携帯がっ!
「妹萌えは基本だろぉぉおっ!?おまっ、それでも漫研の一員かぁぁあっ!?」
「揺らすなぁぁああっ!ガンダムさんを回してる最中なんだこっちはよぉおっ!」
久楼彰。
と言います。
ひらがなにすると『くろうしょう』。
です。
笑うなソコ。
首を絞めてくる友人は、只野薬仁。
ひらがなにすると『ただのやくひと』。
どっちも冗談みたいな名前ですが、本気です。
そんな事よりいい加減離せゴルァ。
「薬仁、マジはなせ、死ぬ!」
「てめぇぇえっ、妹について延々3時間程ここで説教してやる!日中の炎天下で3時間だっ!なに熱射病だと!?ハッ、構うもんかっ!」
「人間として落ち着けぇぇえっ!ガンダムさんもうすぐ終わるから離せボゲァッ!」
「なんだと!?うむ分かった秒読み開始。」
「ハイ、終わった!」
「ちっ。」
よく分からないまま急かされて携帯を閉じた。
熱射病は免れたかと。
崩れた制服の首元を正すと改めて向き直った。
「妹プッシュし過ぎだって言っただけじゃんよ。」
「気にくわんね、貴様それでも俺の友人か!」
「目をかっぴらいて言われても指をグサッと入れたくなるだけだっての。」
「ふはは、その程度で俺を止められると思うてかっ!」
俺は広く浅くあれこれと見たり聞いたりするのが好きなだけ。
アニメ、漫画、小説、ゲーム、同人。
ニコ厨でネットサーフもすればカラオケでアニソンを歌ったりと一応網羅してる。
そんな感じ。
薬仁は、と言うと。
広く深い。
……………。
顔は良いのに…。
「薬仁、いい加減ウザいよ。」
「むっ、そうか?」
薬仁は顎に手を当ててウムと唸った。
本当にしょうもない事をグダグダと駄弁るのは嫌いじゃない。
時々テンションについて行けないが、それも別に良いと思っている。
それもこれもいつもの帰り道と同じだった。
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