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ほら、また見える
小さな小さな小人が
ほら、また聞こえる
深く長く地を抉る
高く細く泣き叫ぶ
深い深い鐘の音が
誰にも見えなくて
誰にも聞こえなくて
誰にも知られてない
僕だけの世界
閉じた牢の世界
ここから出られなくて
怖くて足が震えて
冷たい硝子の前で泣き出した
見えない
聞こえない
触れられない
分からない
硝子越しに見える景色に色が溢れ出す
届かない色彩都市
硝子に頬寄せ泣きじゃくる僕を
覆っている僕の牢
届かないわけじゃない
触れられないわけじゃない
ほら、僕の手にだって色はある
髪だって 瞳だって 唇だって
視界に色が溢れ出す
白色光から降り注ぐ七色の光
牢を開けるのは僕だ
錆び付いた鍵を首から下げて
嘆いていたのはいつからだろう
さぁ、鍵はあるんだ
さぁ、牢を開けて
僕にだって
色はあるんだから
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