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「先生、お怪我は?」 「いや…問題ないよ」 森深くに存在する廃虚と噂された病院。 人をも寄り付かないその場所をヘリから男が見つめていた。 「…良かったのでしょうか」 まだ20代前半の女性は美しい顔を歪ませ彼を見つめた。 「やはり放置せずに毒ガスで全死させた方が…」 「メアリー君…人類の命とは尊いものだ」 「…はい」 「今回は私の研究の為に沢山の者達が命を経った」 「はい」 「この尊い命の犠牲を今後の研究に役立てなければならない」 「先生…」 今にも零れてしまいそうだった女の表情には男の優しい声と体温に柔らかい笑顔が浮かぶ。 「だから君には罪を背負ってもらう事にした」 「…えっ?」 瞬間、女の白い首筋から真っ赤な血渋きが飛び散った。 「双子兼囚人大量殺害……ははっ、君のフィナーレにはピッタリだ」 脈を裂いたメスの指紋を拭くと痙攣を繰り返す女の手に握らせる。 「愛しのメアリー…良い夢を。」 愛しげに男は名を呼ぶと、血を流す唇に口付け優しい眼差しに見届けられ女の身体は空から突き落とされてしまった。  
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