第1章 始まりの日

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「……命令?私を連れてく?……じゃあ、私のせいでこんな事になったの?」 様子が変わったことに気づき、ワーウルフは不思議そうに少女を見つめた。 さっきまで恐怖で震えていた身体は、今は怒りに震えている。 ほとんど逆さに持ち上げられている状態でワーウルフを睨み、少女は身をよじった。 「放してっ、放しなさいよっ! 許さないっっ! 母さんをどうしたのよっっ」 無茶苦茶に腕を振り回し、ワーウルフの身体や顔を殴りつける。 「グ……ヌ、ヌウッ」 思わぬ反撃に、ワーウルフはたまらなくなって少女を投げ飛ばしてしまった。 迫って来る地面に、少女は固く目をつぶるしかなかった。
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