第1章 始まりの日

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「…………ん……」 暖かな光を頬に感じ、少女はゆっくり目を覚ました。 見慣れたのとは違う天井… 顔を少し動かして部屋を見回す。 思考はおぼつかないが、今自分が見知らぬ場所にいるのは理解できた。 「目、覚めたか?」 声のする方に顔を向けると、青年がベットの横の椅子に座っていた。 (……誰だっけ?) 黒髪の短髪で、それなりに整った顔立ちをしている。 今は座っているが、背が高いのが想像できる。 長めの前髪から見える紅い瞳と、左耳にしている2個のピアスが印象的だ。 ……だが見覚えがない。 それなのに、何故だかその紅い瞳に一瞬懐かしさを感じた気がした。 「昨日のこと、覚えてるか?」 ふいに尋ねられ、意識を引き戻された少女は昨日の記憶を辿ろうとした。 瞬間、覚醒したかのように頭の中を映像が駆け巡る。 家の襲撃、ワーウルフ、地面に叩きつけられる瞬間。 そして、母との約束……
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